特設サイト第131回 閑話休題 ~はらのむし~

立春を過ぎて早々に三寒四温がはじまり、もうすでに花粉が飛び始めるなど、季節の移ろいを感じる毎日です。3月になると「啓蟄」を迎えますし、いよいよ春本番へと進んでいきますね。この原稿を書いているのは第111回薬剤師国家試験を間近に控えたときですが、本学からの受験生の合格祈願をと先日太宰府天満宮に行ってきました。
みんな、落ち着いてがんばれ~!


  • 絵本「ハラノムシ」

さて、そのついでにと九州国立博物館を訪れたところ、目を引くイベントの告知がありました。それは「啓蟄」に合わせて「針聞書(はりききがき)」という書籍が展示されるというものでした。「針聞書」は、永禄11年(1568年)に摂津の国に住んでいた茨木元行によって書かれた東洋医学の資料で、針の打ち方や人体解剖図、病気の原因と考えられた想像上の虫の姿が描かれ、その虫の特徴と治療に有効な漢方薬(主に生薬でしたが)などが記されているもので、当時の人々の病気に対する考え方がわかる貴重な資料です。わたしは生薬や漢方薬についての教育?研究に携わってきましたが、こういった書籍があることを初めて知りましたし、少し内容を拝見するととても興味深いものでした。われわれ家族ぐるみでお世話になっている鍼灸の先生がいるのですが、さすがにご存じで、その絵本も持っているとのことでしたから、早速われわれも九州国立博物館のオンラインショップから手に入れました。まだすべてを読んではいませんが、「はらのむし」が63種、イラスト付きで解説されており、とても楽しい絵本です。

「肝虫」とか「腹虫」「肝積(かんしゃく)」とか、わたしたちの身体の中にもきっといる虫たちの解説を読み、いくつか購入したフィギュアを眺めてはニヤニヤしています。中でも「蟯虫(ぎょうちゅう)」は、庚申の夜に眠ると身体から出て、天帝(閻魔大王?)にその人の悪事を告げる虫の一つで、悪事がばれないように眠らないという風習がありました。源氏物語や枕草子で「守庚申」とか「庚申待ち」とか言われた行事がそれです。平安貴族は徹夜で詩歌や管弦の遊びを催していたようで、それが「夜通し酒宴を行う」という風習に変化して庶民にも広まったと言われています。庚申の日は60日に一度巡ってきますから、楽しくもあり、結構忙しいことだったのかもしれません。

写真は購入した「はらのむし」「かんしゃく」「こしのむし」です。「こしのむし」はぎっくり腰を引き起こすそうですし、「かんしゃく」はいつも顔を真っ赤にして怒ってばかりいるそうです。こういう虫たちの仕業だとすれば、なかなかにユーモラスですよね?

医療もわれわれの暮らしを反映する文化の一つです。医学や薬学の発展も自然科学だけでなく、どのように考え、どう工夫していたかを知ることは楽しいことと思います。
機会があれば、ぜひ九州国立博物館を訪れてみてください。展示に間に合わなくてもミュージアムショップで「はらのむし」が出迎えてくれますよ!(^^)!

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ハラノムシの一例

(2026年2月27日)

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