トップページ/欧洲杯足球网_十大博彩公司-投注官网 経営学部の山岡ゼミで慶応大の三木則尚教授を招いた特別講義を実施

経営学部の山岡隆志教授の専門ゼミナールで慶應義塾大学 理工学部機械工学科の三木則尚教授を招いた特別講義が6月12日、共通講義棟北で行われました。
三木教授は、東京大学大学院工学系研究科機械情報工学博士課程修了し、博士(工学)を取得。マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科ポスドク研究員、リサーチエンジニアを経て、2004年より慶應義塾大学理工学部機械工学科専任講師。2017年より同教授。マイクロ?ナノ工学をベースに、医療やICTへの応用研究を遂行中です。
山岡教授と三木教授は同時期にMITで学んでおり、本格的に研究に取り組むゼミ生に、厳密な科学的根拠が求められる理系の研究で必要とされる要素や科学の本質への理解を深めさせたいと三木教授に依頼し、特別講義が実現しました。
「“Keep pushing”、皆さんも人間の知識の円の淵を押し続けて」
三木教授はまず、「研究とは?」について大きな円のスライドを見せ、「人間の知識がこんな風に丸とあったとしましょう」と話しはじめ、小中高大での学びでその円の中で少しずつ大きくなる円を描きました。そして、修士や博士の課程で専門的なことを学ぶことで、一部が尖りはじめ、いずれ最初に描いた円の端まで到達。「研究を頑張ると円の淵が少し膨らむ。これまで知られていなかったことを発見できたこと」とし、「ただ、全体から見ればほんの僅か。たくさんの凸を作っていくと円が少しずつ広がっていく。これが研究です」と説明しました。このスライドはアラバマ大学バーミンガム校のマット?マトイ教授の「博士号とは何か」を説明資料の引用と紹介し、「このスライドを引用する時は“Keep pushingを入れること”とある。皆さんも円を押し続けてください」と強調しました。
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人間の知識の円が研究で少し広がることを説明
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“Keep pushing”、皆さんも円を押し続けてと話す三木教授
専門性とグローバルスタンダード
日本の課題にも話がおよびました。「1970~80年代は日本が経済的に強かった時代であり、その成功体験から脱却できていない。かつては大量生産でみんなが同じことをする時代だったが、今はまったく異なる」と指摘。深刻な人口減少の中で、日本がこれからも成長していくためには「一人あたりの生産性を高めることが必要不可欠であり、そのためには、専門性と多様性が大事」と紹介されました。
また、日本と海外での学歴と年収の違いを示し、「海外では、学士、修士、博士と学位が上がるにつれて年収も上がるのが一般的で、博士号取得者には高額な報酬が支払われる。一方、日本では、博士になると年収が下がるというデータがあり、これは世界でも極めて異例な状況です」と語られました。
「日本では就職活動の面接で、いまだにサークルやアルバイトの経験が質問され、学業の成果に対する質問が少ない。これはグローバルと大きく乖離しています」と三木教授は指摘しました。海外では、大学での成績や学びの内容が重視され、それが採用評価に直結します。専門性のない人材は今後求められなくなっていくので、日本もいずれそうならざるをえなくなると述べ、「グローバルスタンダードを意識した考え方や姿勢を今のうちからもとことが重要だ」と学生たちに強調しました。
多様性と超学際的研究
組織における「多様性」のあり方についても言及されました。「多様性には2つの側面がある」と述べ、ひとつは、これまで不遇な扱いを受けてきた人々を受け入れる“守りの多様性”。もうひとつは、異なる専門性や価値観を持つ人々が集まり、組織に新たな力をもたらす“攻めの多様性”であり、特に後者が今後の組織力強化には欠かせないと強調しました。また、自身の専門である機械工学については、地球温暖化対策やカーボンニュートラル、自動車、医療といった産業の最先端を支える分野であることを紹介。自身の研究では、「小さなものをつくる技術」を応用し、腎不全患者に対する透析や移植に代わる新たな治療法として「人工腎臓の開発」に取り組んでいることが紹介されました。この研究は、医療分野との共同で長年にわたり進められており、現在はブタやヤギを用いた臨床実験の段階に入っています。
「私も最初は機械工学的なことだけやってきたが、今は医学部の方も入って研究している。いろんな分野がまたがった研究を『学際的(Interdisciplinary)』といいます。しかし、今はさらに広がり、アートなども含めた異なる分野の知識や専門家が共に課題解決に取り組む『超学際的(Transdisciplinary)になりつつある』と話し、視野と仲間を広げて研究に取り組む必要性を訴えました。
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異なる分野の知識や専門家が共に課題解決に取り組む『超学際的』を説明
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